全国で競輪レースが行われている競輪場は41ヶ所あります。今回ご紹介する防府競輪場も、そのひとつです。
競輪場には333バンク、400バンク、500バンクの3種類ありますが、それぞれに特徴があり、脚質との相性があります。
実力のある選手が相性の合わない競輪場ではまったく勝てないということもありえますし、逆に普段なかなか勝てない選手が下剋上を決めることもあります。
この記事では、防府競輪場のバンク・決まり手のデータから特徴を紹介し、過去に行われたレース結果の紹介、楽しむためのポイントを紹介していきます。
目次
防府競輪場の特徴
防府競輪場は1949年9月に開設されました。地元出身の作家でもある伊集院静氏が、自著にて「日本一小さな競輪場」と書いている通り、小さい競輪場です。
海もしくは川の近くにある競輪場が多いなか、山に近い立地で西にある天神山をはじめとして、周囲三方を山に囲まれているため、それがレースに大きな影響を及ぼすかもしれません。
以下では、防府競輪場のバンク・決まりて情報について紹介して、同競輪場の特徴を探っていきます。
防府競輪場のバンクデータ
防府競輪場のバンクデータは以下の通りです。
- 見なし直線距離 42.5m(ホーム直線 35.696m)
- センター部路面傾斜 34°41’9”
- 直線部路面傾斜 4°34’26”
- ホーム幅員 10.2m
- バック幅員 9.1m
- センター幅員 7.4m
防府競輪場の長軸長は130.95m、短軸長は65.0mで、こじんまりとした形状となります。もともとクセの少ないバンクでしたが、走路改修後はよりその傾向が強くなった印象です。
また、選手宿舎が新しくできたことで、西風のときはすべて向かい風となります。
また、センター部のカント(傾斜)は最大34度。競りはインのほうが多少有利ながら、傾斜はかなりきつめにできているので、スピードと差し脚が残っていないと先着はしにくいようです。
また、最終ホームと2センターの直線は中バンクが伸びやすくなります。そのため、ラストのまくり・追い込みを狙う選手も多いようです。
防府競輪場の決まり手データ
防府競輪場の着順(1着・2着)ごとの決まり手は、下記のとおりです。
【1着の決まり手】
- 逃げ:27%
- 捲り:36%
- 差し:37%
【2着の決まり手】
- 逃げ:18%
- 捲り:21%
- 差し:21%
- マーク:40%
防府競輪場の見なし直線距離は42.5m、ホーム直線は35.696mです。333mバンクは直線距離が短めですが、防府競輪場も例外ではありません。
走路改修後はクセの少ないバンクになったとはいえ、決まり手には西風が向かい風になりやすい特徴が大きく影響しているようです。
直線距離が短い競輪場では、脚質「逃」の中でも逃げ(先行逃げ切り)が多くなります。
これは、直線距離が短いと逃げ切るためのスタミナを保ちやすいという特性があるためですが、防府競輪場は向かい風になり、風圧の影響を受けやすいので、逃げは逆に不利になります。
どの決まり手も比較的よく出ているものの、捲りと差しがほぼ同じくらいの割合で、逃げはやや少ない傾向です。
それでも捲りを狙う場合、特に風の影響がありそうなときは最終ホームから早めに仕掛けられるかどうかがカギとなるでしょう。
2着は先行ラインのマークが多く、逃げや捲りで伸び切らなかった選手も同じく多いようです。
周防国府杯争奪戦 過去レース結果
防府競輪場では、防府競輪開設記念競輪(G3)が開催されます。以前は毎年9月が開催時期でしたが、近年では9月~11月の間で開催されている競輪競走です。
2019年は「防府競輪場回雪0周年記念競輪 周防国府杯争奪戦」として、2019年11月1日~4日の4日間開催されました。
F1競走では、現役時代はマーク屋として活躍した石村正利氏を称えた「石村正利賞」を開催しているほか、「毛利賞」、「山頭火賞」などがあります。
そのほかにも、中国地区・四国地区で持ち回り開催をしている「W・Jカップ」も開催されています。
2012年11月からはモーニング競輪も一部で実施されているようです。
特別競走(G2)としては、1996年・2002年・2006年にふるさとダービー、2015年には共同通信社杯競輪が行われています。
ここでは、2018年と2019年に開催された「周防国府杯争奪戦」のレース結果を紹介していきます。
2019年11月4日開催 決勝レース結果
2019年に開催された「周防国府杯争奪戦」決勝レース結果は以下の通りです。
- 1着 車番2 清水裕友 級班SS 決まり手「捲り」
- 2着 車番8 原田研太朗 級班S1 決まり手「マーク」
- 3着 車番1 三谷竜生 級班SS
赤板で郡司浩平がペースを緩めると、最後方から単騎の三谷竜生が一気にカマシを放ち最終ホーム手前で叩き切る。
しかし、清水裕友が後方から捲り上げ、郡司のけん制をうまくかわすと、直線で三谷を抜き去って見事連覇を達成しました。
2着は、最後の追い上げで1/8車輪差まで迫った原田研太朗。単騎のカマシ先行という奇襲を放った三谷は3着でした。
2018年11月4日開催 決勝レース結果
2018年に開催された「周防国府杯争奪戦」決勝レース結果は以下の通りです。
- 1着 車番1 清水裕友 級班S1 決まり手「捲り」
- 2着 車番9 郡司浩平 級班S1 決まり手「捲り」
- 3着 車番4 松浦悠士 級班S1
レースは鈴木庸之が緩やかに上昇し、バックすぎに誘導員が退くと先頭に立ちます。
途中までは緩やかなペースだったものの、2コーナーから三谷竜生が追い上げをかけ、単騎の山田英明もこれに反応したことで三つ巴に。この動きに乗った清水裕友が、最終コーナーで一気に加速すると、全員を飲み込んで1着でゴール。
鈴木と諸橋の後ろにいた郡司は、清水を追いかけるように捲りを仕掛けて2着。3着は優勝した清水をマークしていた松浦悠士でした。
防府競輪場を楽しむポイントとは?
防府競輪場は地域に親しまれている競輪場で、競輪レース以外にも様々な用途で利用されています。
古くは1951年に開催された広島県を中心に開催された国民体育大会から、2011年10月に開催された「おいでませ!山口国体」でも自転車競技トラック種目の実施会場として使用されました。
そんな防府競輪場のおすすめポイントと、周辺グルメ情報を紹介していきます。
33(サンサン)バンクカード
防府競輪場の会員カードで、名前の通り33ポイント集めると景品と交換できるポイントカードです。
来場するごとに1ポイント付与されるので、近くに住んでいる人は入会してみてください。
このカードを持っている人は、33バンク王座決定戦というイベントに参加できます。
これはどういうイベントかというと、指定されたレースの車券を指定された金額内で購入して、もっとも払い戻し金額の多い人が優勝するというレースです。
参加した人には、500円分の昼食券やドリンク引換券、クオカード2枚などの特典も用意されています。
オススメのグルメスポットもいっぱい
防府競輪場の施設内には、食堂が2ヶ所あります。うどん、そば、ラーメン、丼ものなどがあり、比較的安価で食べられます。
また、競輪場周辺も比較的飲食店は多く、お刺身から丼もの、ラーメン、カフェ、イタリアンなど軽食からお腹いっぱいになるものまでたくさんあるので、ちょっとしたレジャーにもおすすめの場所です。
まとめ
この記事では、防府競輪場のバンク・決まりてから見えてくる特徴と、過去のレース結果、防府競輪場のおすすめポイントについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
競輪の人気低下によってさまざまなイベントを行っていますが、防府競輪場でも色々なイベントを開催するなど、人気回復策を取っている競輪場です。
もともとクセのないバンクでしたが、走路改修後はいっそうどの決まり手も出やすいバンクになったので、観客として見るときもレースを存分に楽しむことができるでしょう。