日本にある競輪場のバンクは、333m、400m、500mの3種類があり、もっとも多いのは400mバンクです。
今回ご紹介する玉野競輪場も、400mバンクのひとつ。ただ、同じ400mバンクでもそれぞれに特徴があります。
この記事では、玉野競輪場のバンク情報や決まり手からその特徴を分析。その後で過去に行われたレースを振り返るとともに、玉野競輪場の楽しみ方やグルメスポットについて紹介していきましょう。
目次
玉野競輪場の特徴
玉野競輪場は1950年3月に、岡山県玉野市に開設されました。同競輪場の立地は瀬戸内海に面しており、風光明媚で開放感のある競輪場として、地元の人気スポットです。
もともと行われていた開設記念競輪の他、ミッドナイト競輪やナイター競輪も開催されているため、根強いファンがいることでも知られています。
そんな玉野競輪場ですが、現在は改装工事の真っ最中。競輪場併設施設では全国初の選手宿舎を兼ねたホテルを建設する予定です。現在は段階的に整備を進めており、今年の夏からはメインスタンドなどを解体して、2022年には全体が完成する予定となっています。
以下で、玉野競輪場のバンクと決まり手データについて紹介して、それぞれから見えてくる広島競輪場の特徴について解説していきましょう。
玉野競輪場のバンクデータ
玉野競輪場のバンクデータは以下の通りです。
- 見なし直線距離 47.9m
- センター部路面傾斜 30°37’33”
- 直線部路面傾斜 3°26’1”
- ホーム幅員 10.3m
- バック幅員 9.3m
- センター幅員 7.5m
玉野競輪場の周長は400mで、日本国内にある競輪場の中でもっとも多い周長のバンクです。
そんな玉野競輪場の特徴は、400mにしては長軸帳が短めで、短軸帳が長めとなっている点にあります。
長軸長は156.58m、短軸長は約80.47m。京都向日町競輪場ほどではありませんが、長軸帳が短めで、短軸帳がやや長めな構造となっています。そのため、全体的にやや円形に近い形です。
見なし直線距離は47.9mなので、333mバンクほどではありませんが、400mバンクとしてはやや短めとなります。
一般的には、直線距離が短いと逃げ・捲りといった「逃」脚質が有利です。しかし、冬場はバックストレートに向かい風が吹きやすく、1コーナーは雨の後に風が強くなりやすい特性があります。
基本的にはどの脚質の選手でも走りやすいバンクですが、捲りを得意とする選手にとってはやや不利になりやすいでしょう。
一方、ミッドナイト競輪になると風の影響が少なくなるため、先行選手が有利になりやすいという特性があります。
このように昼と夜では、特性が大きく変わる競輪場です。
玉野競輪場の決まり手データ
玉野競輪場の着順(1着・2着)ごとの決まり手は、下記のとおりです。
【1着の決まり手】
- 逃げ:22%
- 捲り:33%
- 差し:45%
【2着の決まり手】
- 逃げ:17%
- 捲り:17%
- 差し:28%
- マーク:38%
1着の決まり手で見ると、自力(逃げ・捲り):他力(差し)の比率は55:45なので、やや自力有利です。しかし、差しも45%あり、3つともほぼ均等に出ています。
2着は同じく34:66なので、約3分の2が追い込み(差し・マーク)となります。
これは、先にも書いたように冬場はバックで向かい風になりやすいこと、1コーナーが雨の後で風が強くなりやすいためということが考えられるでしょう。
全体としては走りやすいバンクなので、どの脚質が不利になる、どの決まり手の選手が不利という点については、そこまで有意な差はありません。しかし、予想する際はこういったバンクの特徴を頭に入れておくことが大切です。
記念競輪「瀬戸の王子杯争奪戦」 過去レース結果
玉野競輪場の開設記念競輪(G3)として、近年では3月頃「瀬戸の王子杯争奪戦」が開催されています。
ただし、今年度に関しては改修工事の関係で、広島競輪場を借り上げての開催でした。
玉野競輪場のマスコットは、「ガッツ玉ちゃん」という愛称で親しまれています。それにちなんで、毎年「ガッツ玉ちゃん杯」という競輪が開催されています。
また、岡山県に伝わるおとぎ話でもある「桃太郎」にちなんで、「桃太郎杯」という競輪も開催されています。その他、2016年1月からはミッドナイト競輪を、同年11月からは通常のナイター競走を「シャイニングナイトレース」という愛称で実施しています。
過去にはG2レースのふるさとダービーを2000年12月に、2005年2月に西王座戦、2010年には東西王座戦の会場が玉野競輪場でした。
ここでは、玉野競輪場開設記念競輪の「瀬戸の王子杯争奪戦」から、2019年・2020年のレースを振り返っていきます。
2020年3月8日開催 決勝レース結果
2020年の「瀬戸の王子杯争奪戦」のレース結果は以下の通りです。
- 1着 車番5 郡司浩平 級班SS 決まり手「捲り」
- 1着 車番9 新山響平 級班S1 決まり手「逃げ」
- 3着 車番1 佐藤慎太郎 級班SS
赤坂すぎに後方から上昇してきた郡司浩平が切ると、清水裕友がさらに切リます。そこから単騎で吉田敏洋が追い上げを図るが、これは清水に抜かれます。
さらに最終コーナーからは畑段嵐士が巻き返しを図ったところを、新山響平が一気に踏み込んでリード。その後、清水が外に張って一気に捲ろうとするも、これは佐藤慎太郎にブロックされます。
最後は逃げ切りを図った新山と、最後外から捲ってきた郡司が同着でゴールしてともに1着。清水をブロックした佐藤が3着でした。
2019年3月3日開催 決勝レース結果
2019年の「瀬戸の王子杯争奪戦」のレース結果は以下の通りです。
- 1着 車番7 阿竹智史 級班S1 決まり手「差し」
- 2着 車番5 柏野智典 級班S1 決まり手「差し」
- 3着 車番8 北村信明 級班S2
赤坂から踏み込んだ太田竜馬が3番手から合わせてきた松浦悠士を打鐘前に叩くと、ハイピッチで逃げ切りをはかります。
松浦はその後、4番手で体制を立て直して最終2コーナーからまくりを仕掛けます。しかし、今度は阿竹智史に止められ、止めた阿竹が最後鋭く追い込んで差して1着。
見事、6年8ヶ月ぶり2度目の記念競輪制覇を果たしました。
冷静にコースを取った地元の柏野智典が最後はうまく追い込んで2着。徳島ライン3番手だった北村信明が3着でした。
玉野競輪場を楽しむポイントとは?
玉野競輪場は1950年3月、岡山県玉野市に開設されました。同競輪場は瀬戸内海に面し、競輪場から瀬戸内海がくっきりと見えることから「風光明媚な競輪場」として知られている競輪場です。
これまでに記念競輪をはじめとしてG2レースなどを開催してきましたが、2016年からはナイター競輪・ミッドナイト競輪の開催にも力を入れています。
また、現在は玉野競輪場再整備計画として、株式会社チャリ・ロトと競輪場周辺に選手宿舎を兼ねたホテルを建設中です。
これらのことを踏まえて、玉野競輪場を楽しむためのポイントを紹介していきましょう。
基本的には無料、特別観覧席も安く入場できる
玉野競輪場は目の前が瀬戸内海で、場内から海を一望できるほどの開放感あふれる競輪場です。
メインスタンドの椅子席は750席あり、晴れた日はメインスタンドでその迫力あるレースを見ることができるでしょう。また、特別観覧席はメインスタンドの2階にあります。
室内になっているので、悪天候時でも快適に観戦することが可能です。観覧料は200円と安いので、お財布にもやさしい競輪場といえます。
また、現在はホテル建設が進んでおり、開業後はレジャー施設としての一面も楽しめるようになるでしょう。
周辺にはグルメスポットがいっぱい
玉野競輪場にも食堂があるので、軽食からちょっとした一品料理も楽しめます。
また、瀬戸内海に面していることもあり、美味しい海の幸からラーメン、パン、カフェまで幅広く楽しむことができます。
玉野競輪場にいった際は、そういったグルメも楽しんでみてください。
まとめ
この記事では、玉野競輪場のバンクデータや決まり手情報、おすすめポイントをまとめました。
現在は再整備計画を進めているところで、全体の工事が完了したら一大レジャー施設として競輪を楽しむことができるようになるのではないでしょうか。
また、周辺にはグルメスポットもいっぱいなので、そういった点でも楽しみな場所といえます。