日本全国にある競輪場のうち、現在でもレースを行っているのは41ヶ所。周長が同じバンクでも、それぞれの競輪場に特徴もあり、出る決まり手にも傾向があります。
屋外の競輪場であれば、形状やロケーションによって風の影響を受けやすいかどうかといった条件も加わってくるでしょう。
この記事では和歌山競輪場を取り上げ、同競輪場のバンク情報や決まり手の傾向、過去に行われた記念競輪の結果、周辺情報など和歌山競輪場を楽しむためのポイントについて解説していきます。
目次
和歌山競輪場の特徴
和歌山競輪場が誕生したのは1949年12月、日本で初めて競輪が行われた小倉競輪場の誕生から約1ヶ月後のことでした。
全国では21番目、近畿では現在では廃止されている住之江・神戸などに続く6番目の競輪場として誕生。競輪場としては長年クロソイド曲線を採用していましたが、1999年のバンク全面改修工事を行った際にマッコーネル曲線のバンクとなって現在に至ります。
ここでは、和歌山競輪場のバンクと決まりてデータについて紹介して、同競輪場の特徴についてまとめていくので、予想の参考にしてみてください。
和歌山競輪場のバンク
- 見なし直線距離 59.9m
- センター部路面傾斜 32°15’7”
- 直線部路面傾斜 2°51’45”
- ホーム幅員 11.4m
- バック幅員 9.5m
- センター幅員 7.7m
和歌山競輪場の周長は400mです。長軸長は160.52m、短軸長は73.59mなので、400mバンクとしては標準的な形状といえます。
カントもセンター部で32度、直線部は2度なので、ともに400mバンクとしては標準的であまりクセはなく、競技者にとっては走りやすいでしょう。
また、見なし直線距離が59.9mと長めなので、やや差しを得意とする選手が有利になりやすい傾向にあるものの、比較的どの脚質の選手にも力を発揮しやすいバンクです。
和歌山競輪場の決まり手データ
和歌山競輪場の着順(1着・2着)ごとの決まり手は、下記のとおりです。
【1着の決まり手】
- 逃げ:20%
- 捲り:33%
- 差し:47%
【2着の決まり手】
- 逃げ:19%
- 捲り:16%
- 差し:28%
- マーク:37%
先にも述べたように、和歌山競輪場はカントの傾斜や競技場の形状ともにクセの少ない、標準的な400mバンクです。そのため、脚質「逃(逃げ・捲り)」:「追(差し・マーク)」の比率は、1着では53:47なのほぼ半々、2着では35:65となります。
2着の決まり手だけを見ると差し・マークといった追い込み型がやや有利です。1着も差しの決着が比較的多いものの、どの決まり手も均等に出やすいでしょう。
ただ、2コーナーからバックストレートにかけて裏側に紀の川が流れています。そのため、河口付近から入り込んでくる海風の影響を受ける可能性を考えなければなりません。
また、見なし直線距離が約60m(59.9m)と400mバンクにしては長いので、特に捲りを得意とする選手にとっては4コーナーあたりで外に膨れやすく、外から狙ってくる番手選手が流れてしまうことで、インから3番手が入ってくるということも見られるようです。
一方、2着は差し・マークが多いものの、どの戦法を得意とする選手にもチャンスがあります。
和歌山競輪場の過去レース結果
和歌山競輪場では、毎年1月10日前後に開設記念競輪(G3)として「和歌山グランプリ(略称:WGP)」が開催されています。
特に、初日の最終第12レース(特選レース)は、世界遺産の「熊野古道」にちなんで「熊野古道賞」という名称がついているレースです。
特別レースは、過去には1995年・1996年12月のふるさとダービー(準特別競輪・G2)を開催。また、2020年6月には、和歌山競輪場初のG1競走として「第71回高松宮記念杯競輪」が行われました。
G1レースなので、例年であればファンが多数来場することも予想されたものの、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、G1競走初の無観客レースとしての開催でした、
ここでは2020年1月13日に行われた開設記念競輪「和歌山グランプリ」の決勝レース結果と、同じく2020年6月21日に行われた和歌山競輪場初のG1レースとなった「第71回高松宮記念杯競輪」の決勝レース結果を振り返っていきます。
2020年6月21日開催 決勝レース結果
2020年6月に開催された「和歌山競輪場」のレース結果は以下の通りです。
- 1着 車番2 脇本雄太 級班SS 決まり手「逃げ」
- 2着 車番9 和田健太郎 級班S1 決まり手「差し」
- 3着 車番3 松浦悠士 級班SS
レースは赤坂での動きはなく、打鐘直前に脇本雄太が主導権を握ろうと前に飛び出したところから動きはじめました。
後方から松浦悠士が迫るも、同じ近畿勢の稲川翔がけん制。それを見て再び踏み直した脇本が、最後まで逃げ切って今シーズンの初レースを制しました。
2着は松浦をマークしていた和田健太郎が最後で差して入り、捲りを狙った松浦は最後までスピードに乗り切れずに3着でした。
2020年1月13日開催 決勝レース結果
2020年1月に開催された「和歌山競輪場」のレース結果は以下の通りです。
- 1着 車番7 松浦悠士 級班SS 決まり手「捲り」
- 2着 車番3 渡部哲男 級班S1 決まり手「マーク」
- 3着 車番4 大槻寛徳 級班S1
打鐘と同時に菅田壱道が先頭に立つと、稲毛健太が2番手からすかさず巻き返しに入ります。
レースは最終ホームまで両者によるもがき合いが行われ、最後に叩いたのは稲毛。その稲毛を、バックから捲りあげた松浦悠士が一気に前団を飲み込んで1着でゴール、2020年初戦を見事に制しました。
2着は終始松浦をマークした渡部哲男、3着は直線でコースをうまく突いた大槻寛徳でした。
和歌山競輪場を楽しむポイントとは?
和歌山競輪場は1949年12月に解説された、日本でも古い競輪場のひとつです。
しかしながら、建物自体は何度も改修工事を行うことで、さまざまな層のお客様を迎えるべくさまざまな工夫がなされています。
以下では、そんな和歌山競輪場でのレースを楽しむポイントや、場内施設について紹介していきます。
マスコットキャラクターの「わかちゃん」がお出迎え
和歌山競輪場のマスコットキャラクターは、「わかちゃん」という名前で2002年に誕生しました。和歌山県の特産品のひとつでもあるみかんをモチーフにしたキャラクターで、地元はもとより多くの競輪ファンに親しまれています。
また、地元の和歌山放送では「わかちゃんファンクラブ」を開設しており、会員限定で和歌山競輪を楽しむためのイベントも盛りだくさんです。
過去には、このようなイベントが行われています。
- 初心者&上級者セミナー
- 競技場バックヤードツアー
- バンク内レース観戦
この他にも、ビッグレース開催時には観戦ツアーが行われるなど、ファンを増やすための取り組みも進んでいる競輪場です。
見やすい工夫がいっぱいの場内
メインスタンドは1993年に完成。スタンド前がスタート・ゴール地点なので、スタート前の緊張感とゴール直前の緊迫感の両方を味わうことができます。
2階にはCS放送を行うための実況スタジオがあり、そこでCS放送を視聴することが可能です。
また、3階には有料(500円)の特別観覧席があり、冷暖房完備の室内でゆったりとレースを見ることができます。
2016年に完成した投票所は、最大800人が入れるようになっています。また、空調設備が完備されており、大画面でレースを楽しむことも可能です。
またメインスタンド左側には、レディース・ファミリールームとキッズスペースがあります。
女性だけの来場者や子供連れの人も安心して、競輪場の雰囲気を楽しむことができるでしょう。
まとめ
この記事では、和歌山競輪場のバンク・決まりての情報・特徴から、和歌山競輪場のおすすめポイントを紹介していきました。
比較的クセの少ない競輪場で、改修後は走りやすい競輪場として親しまれています。
ただし、紀の川からの海風が入りやすいので、予想をする際は風を考慮に入れることが必要となるでしょう。
ぜひ、和歌山競輪場のクセや特徴を頭に入れて、充実した予想をしてみてください。